新卒で大手IT企業に入った私は、約3年間のプログラマー経験を経て、現在システムエンジニアとして活躍しています。(合計9年)
今回は、この仕事に対して興味や関心をお持ちの皆さんに、大手企業の女性プログラマーだからこそ得られた貴重な体験や、実際に働いてみて感じた感想などを詳しくご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
女性プログラマーの私が大手IT企業に入った経緯
私が働いているのは、大手メーカーのグループ企業です。
東京の私立大学で工学部に入った私は、授業で学んだプログラミングを使いさまざまなシステムを作ってみたいと思い、就職活動で多くのIT企業に応募をしていました。
将来を見据えて、できれば地元に戻りたいと考える私にとって、県内で最も大きなIT企業はとても魅力的な存在でした。
ですから、競争率も非常に高いこの会社から採用連絡が来たときには、本当に嬉しかったです。
新卒の私が配属された部署
そんな私が配属されたのは、多くのプログラマーやシステムエンジニアが働くシステムソリューションという部署でした。
専務に連れられてフロアに入り最初に驚いたのは、ソフトウェア開発部隊の正社員30人の中に女性が1人もいなかったということです。
しかしながらフロア内には、協力会社の女性プログラマーさんが3人働いていました。
30代後半~40代前半ぐらいと思われる彼女たちは、正社員の男性より遥かに仕事ができそうな雰囲気を漂わせていました。
会社に入り協力会社の外注さんと話してみると、手に職を持つ彼女たちは非常に精神的にも自立していて、企業パンフレットなどで見るよりも遥かにカッコいい職種だなぁと感じられました。
総合行政パッケージの開発チームで経験したこと
新卒入社の直後に入ったのは、大手メーカーで展開する総合行政パッケージをゼロから開発していく、とても大きなプロジェクトチームでした。
ちなみに総合行政というのは、市区町村役場で動く次のような業務をパッケージ化したシステムの総称です。
- 戸籍
- 住民記録
- 税情報
- 国民健康保険
- 国民年金
- 介護保険
- 後期高齢者 など
ここで作ったシステムは、グループ会社やパートナー企業などによって全国の自治体に販売展開されます。
そのため、長きに渡って開発に携わる先輩や上司からすると、このプロジェクトは親会社からの注目度が非常に高いだけでなく、責任も重い仕事だったようです。
プログラマー 兼 雑用担当として参加
大手企業を代表するこの開発チームでは、全国のグループ企業から集められた20代後半~40代の精鋭社員ばかりが働いていました。
したがって、女性プログラマーとしての経験や実績が皆無に等しい新人の私は当初、チーム内でマスコットキャラクター的な存在だったように感じます。
しかしながら現場に入れば、当然のことながら多くの仕事をこなさなければなりません。
チームに入ったばかりの時期は、既に完成している機能のマニュアルや設計資料を作りながら、その裏で動くプログラムや画面のフォームなどの構造、業務知識などを学んでいました。
その後、システムの概要がようやく理解できた段階で、パラメータ設定などの比較的シンプルな画面のプログラム修正に携わらせてもらえるようになりました。
でもしばらくの間は、フラストレーションを溜めながら上手く作れないプログラムと向き合い、バグ修正とデバッグを何度も繰り返す毎日でした。
隔離されたネットワーク環境での開発
機密情報を取り扱うシステム開発では、外のネットワークとは切り離された環境で作業をするのが一般的です。
そのため、このチームに入ってからの私は、実際に開発したプログラムや設計書などの入ったデモ機(専用サーバ)と一緒に全国のパートナー企業などを訪れ、1週間~2週間ほどのホテル泊でそのまま開発をし続けるという、長期出張の多い生活となりました。
女性プログラマーの長い夜
デモ機と一緒に全国出張していた頃は、だいたい毎日22時~23時頃まで仕事をしていました。
その日の作業が終わるとみんなで居酒屋に出掛け、ホテルに戻るのは深夜2時~3時という暮らしでした。朝はもちろん、9時頃には仕事を始めます。
基本的に開発チームで活躍するプログラマーやシステムエンジニアは、男女どちらであっても心身ともにタフでエネルギッシュな人が多いと思います。
そしてその日の仕事を終えて居酒屋に入ると、皆さん今までの集中力が嘘のように豪快に弾けていらっしゃいました。
チーム全員で毎日一緒にご飯を食べ続けるというのは、部活の合宿みたいでなんだか楽しかったです。
また、開発がオンスケジュール(予定通り)に進んだときには、みんなで現場の近くにある仙台七夕などを観に行くこともありました。
大手企業と中小企業で働く女性プログラマーの違い
多くの協力会社(外注さん)も出入りする大きな会社で勤務していると、企業規模によって女性技術者のキャリアや働き方が大きく変わってくる実情に気付かされることが多くなりました。
まず、発注者からの元請けができるほど大きな企業で働く女性プログラマーは、何年か開発現場で経験を積んだ後、上流工程にも携われるシステムエンジニアにステップアップするのが一般的です。
システムエンジニアと名乗れるだけの知識と経験があると、システム改修時のプログラムや設計資料の修正なども全てひとりでできるようになります。
そのため、開発規模の小さなソフトウェアやパッケージの場合、1人の技術者がシステムエンジニアとプログラマーを兼務していることもあるのです。
小さな企業で働く女性プログラマーの実情
一方で、自社製品のない小規模会社の場合、そこで働く技術者は基本的に、業務委託などの形でプログラミングの仕事を部分的に請け負うケースが多いです。
したがって小さな会社の女性プログラマーは、大企業の正社員と違って、システム全般やプロジェクト全般を管理するような大きな仕事に携われる機会は、意外に少ない実態があります。
しかしながら、さまざまなプロジェクトを通してプログラミングを専門的におこなう人たちは、広く浅くに陥りやすい大企業のプログラマーと比べて、遥かに高いテクニックや知識を持っている傾向が非常に高いです。
そのため、職人的なプログラマーとして活躍したい場合は、プロジェクトを管理する側にまわることの多い大手企業よりも、ソフトウェア開発に強い中小の会社に就職・転職してみるのも、おすすめ度の高い選択肢となりそうです。
まとめ
今回は、大手企業の中でも特にビッグなプロジェクトに携わった女性プログラマーとして、皆さんにこの職種の魅力や感想をご紹介してみました。
自分の作ったシステムが全国の自治体で稼働するのは、大手企業の技術者だからこそ得られるやりがいだと思います。
また、同じ開発チームに入った全国の仲間と切磋琢磨できる大きな会社の女性プログラマーは、若いうちからさまざまな意味で成長したいと考える皆さんに、おすすめ度の高い仕事です。